└Vol.093　婚活の処方箋　
婚活成功の秘訣 幸せなご縁を引き寄せるための心の準備と行動

　婚活を始める理由は人それぞれです。友人の結婚に刺激を受けて、年齢的に将来を意識して、あるいは親や職場からの言葉で背中を押されて……。きっかけはさまざまですが、最初に確認していただきたいのは「自分はなぜ結婚したいのか？」という動機です。

ここで完璧な答えを出す必要はありません。「誰かと一緒に暮らしたい」「子どもが欲しい」「ひとりでは寂しい」など、シンプルな気持ちで十分です。大切なのは、その思いを自分の中で一度“言葉にすること”。これだけで活動の軸が定まり、迷いやブレを減らすことができます。

婚活は、周囲に合わせて“やらされている感覚”で続けると疲れやすいものです。「自分の人生をより豊かにしたい」という前向きな目的意識を持つことが、最後まで婚活を続けられる力になります。

さらに、「結婚したい」気持ちの奥にある「どんな暮らしを望んでいるのか？」を考えてみると、より具体的な方向性が見えてきます。例えば「穏やかな家庭を築きたい」「一緒に趣味を楽しめる相手がいい」など、理想を言葉にすることで、ご縁の選び方も自然と変わっていくのです。

　婚活を始める際、多くの方がまず「理想の条件」を明確に設定されます。年収、学歴、職業、居住地などの基準を持つことは有効ですが、条件のみに注目すると、実際には相性の良い相手とのご縁を見逃してしまう可能性があります。

結婚生活は長期的な関係性の構築であり、日常の積み重ねです。条件が揃っていても、一緒にいると疲れを感じたり自分らしさを失ったりする相手とは、安定した関係を築くことは困難です。反対に、当初の条件とは多少異なっても、自然体で過ごせる相手であれば、結果として関係が順調に発展することが多くあります。

重要なのは「自分が安心して日々を過ごせる人物像」を明確にすることです。これは条件を下げることではなく、判断軸を拡張することにあたります。また、婚活では「自分が選ぶ」だけでなく「相手に選ばれる」という相互性を理解し、自らの魅力を適切に伝える姿勢と相手にも選んで貰える安心感やバランスも求められます。

お相手に求めることと自分が提供できることを整理することで、理想と現実のバランスが取れた効果的な婚活につながります。

　婚活における成果は、スキルや条件だけでなく、心のコンディションに大きく左右されます。気持ちが前向きなときには活動が円滑に進みやすい一方、結果が思うように出ない時期には焦りや自信喪失につながり、活動の継続性を損なうリスクがあります。したがって、婚活を戦略的に進める上では「心の安定を保つ仕組み」を事前に整えておくことが重要です。

典型的な課題のひとつは、周囲との過度な比較です。SNSや友人の結婚報告を目にすることで、焦燥感や劣等感が増幅されやすい。しかし、他者のライフステージは自分の指標にはならず、比較はむしろ意欲を削ぐ要因となります。分析的に見れば、婚活の成果は「タイミング×自己理解×行動量」の掛け合わせで決まるものであり、他者との進捗比較は無意味です。

お薦めするのが次の二点が有効です。

① 自分のペースを尊重し、「比較」ではなく「自己成長」の観点で婚活を捉える

② 不安や停滞を感じたときは、専門家（カウンセラーや仲人）の視点を取り入れ、客観的にリセットする

婚活を「成果至上」ではなく「自己理解と成長のプロセス」として捉えることで、心理的負担が軽減され、結果的に良縁を引き寄せやすくなります。持続可能な婚活のためには、戦略と同じくらいセルフマネジメントが鍵となるのです。